2019年6月21日
プレゼンター: 中野代表取締役社長
場所: WDBホールディングス(株)本社(兵庫県姫路市)
2019年3月期(第34期)の定時株主総会に引き続き事業説明会が行われた。
主な内容は、会社概要、決算概要、人材サービス事業の状況、CRO事業の状況、株価推移、配当、2020年3月期の業績計画およびコーポレートメッセージとロゴマークの刷新について。
同社は過去10年間、ほぼ一貫して増益基調である。
会社の主業務は理学系分野を中心とした人材派遣、人材サービス事業、およびCRO事業。
人材派遣、人材サービス事業は、同社が早い時期から理学系分野に集中特化したことにより、製薬会社や化学メーカー、研究所など、他の人材会社と比較的競合が少ない分野に特化して着実に地盤を広げてきたことが、同社の躍進につながっている。
またCRO事業も、医薬品開発のフェーズの早い段階の治験ではなく、承認後の副作用情報の収集という、比較的に敷居の低い分野で地盤を築いていることがやはりCRO事業に特化している他社との差別化で特筆できる。
同社の株価は業績の着実な向上に伴って、10年前のそれと比べるとほぼ30倍になるなど、典型的な成長株の会社の1社である。しかし、今後もこの成長が維持できるのかどうか。この点が説明会での一番の興味事項であった。
同社のHPによると、現在同社が一番得意とする理学分野(科学、バイオ)ではすでに約三分の一のシェアを握っているとあるが、このシェアをさらにどうやって上げることができるのか。
同社は昨年から今年にかけてかなり急ピッチで研修所と営業オフィスを新設している。それもちょっとマイナーと思われるような地方都市に次々と、である。これは、今まで同社が取り切れておらず、かつ今後メインのターゲットとなっていく中小の製薬メーカーや化学メーカー、地方の大学研究所や施設をかなり本気でとりにいこうとしている現れと読める。
また、新たな人材派遣プラットフォームとしてスマホやPCを使ったソフトを開発し、その上で初期営業活動や派遣者に対するフォロー、アフターケアー、ユーザーとのコミュニケーションや請求ができるような体制を作ろうとしている(このソフトは初期バグ解決のために現在一旦休止させて再稼働をめざしている)。
合わせてこれらに、11億強の大幅投資を計画しており、そのために来期会社予想は増収減益となっている。
またCRO事業はシェアはまだまだ低く、これらの上乗せと同分野に特化した新規プラットフォームの開発に現在注力中であり、このプラットフォーム開発後をもにらんで海外の展開を試行錯誤している。
引き続き今後の動向を注視したい。
最後に、外国人労働者をどう取り込むのかという趣旨の質問に対して、中野社長の個人的な見解としては、労働力不足はどちらかといえばロボットやAIを含むIT化で解決していく方向が本流なのではないか、という内容の発言が耳に残った。
コメントを残す