開催日: 2020年2月30日
プレゼンター: (株)ネクステージ 広田 代表取締役社長
主催: 野村証券 梅田支店
Yahooファイナンスで(株)ネクステージの会社概要を見ると【中古車販売大手。東海発祥で全国店舗網を形成中】とある。この説明を聞いてもあまり食指が動かない。
ただ、過去の業績推移を見ると、印象は一変する。ここずっと10年以上にわたって増収を続けている。そして直近の売上高は2,000億円を超えている。最近車を所有していない自分にとってはなじみの薄い業界であるが、いったい中古車販売の市場で何が起こっているのだろう。そんな興味を持って説明会に参加した。
大きく自動車の販売サービスに係る業務を挙げると、新車・中古車の販売、車両の買取、自動車保険の販売、自動車の点検・車検、そして整備や板金サービスなどの業務がある。
それらのすべてのサービスを、ネクステージはワンストップですべて提供してやろう、そんな戦略を根底に持って動いているという。
現在中古車の販売業に関わる業者は全国で約81,000軒、その数はコンビニ全店舗数約57,000軒に比べてさらにまだ多い。それだけ中小の業者が数多く市場に混在しており、例えば家電量販店やアパレル業界などといった他の小売店業に比べてまだまだ寡占化が進んでいない。上位3社のシェアーを足しても10%にも満たない数字なのだという。
さらに実際、ユーザーにしてみればワンストップサービスを希望しているのかもしれないが、現状は買取に関してガリバーやアップル、パーツでイエローハットやタイヤ館、整備でオートバックスなどなど、それぞれに特化した会社が分散して存在し、それらをワンストップサービスで提供してユーザーの希望い沿える会社が存在せず、これらを解決できた場合にはるかに大きな市場がまだまだ開拓可能な領域として残されているのだという。
ネクステージの2030年の売上目標は1兆円以上と意欲的ではあるが、中古車市場での市場寡占化の流れに乗る売上アップとワンストップサービス提供との組み合わせによる複合的な市場シェアアップにより目標の達成に自信を持っている。
現状、ネクステージの中古車販売の店舗展開は幅広い車種を提供する総合店、SUVをカーライフまでイメージできる体感型の大型SUV専門店、輸入車の大型店、そしてVOLVO、AUDIなどの輸入新車販売店と、ユーザーの希望する車種分野や価格帯に応じて複数の販売店舗網を全国展開している。
市場としては人口20万人程度の都市に一つ一つ実店舗の出店を行い、その積み重ねで売上を地道に積み重ねていくという作業をブレなく取り進めている。その出店の過程の中で、地方大型パチンコ店の店舗跡地を有効的に店舗利用して出店費用を抑えるなどの工夫を行っている。
ネクステージはかつてAmazonによる仮想店舗での中古車販売を世界に先駆けて試験的に行ったことがあるらしい。そのための施策として品質保証制度や返品制度などユーザーの仮想店舗での中古車購入に対する危惧を取り除く施策を数々施したのだが、ユーザーの要望が最終的にはどうしても実車を見たいという実態を目の当たりに実感して、かえって実店舗展開を進めることに自信を持つことができたのだという。
車を所有しない時代の趨勢に対しての質問も出たが、中古車が売れる間は売る、もし所有形態からシェアやリースなど他の形態に車の利用方法が変わった場合は、ネクステージとしてそれらのサービスを取り込み、対応した新しいサービスや金融を柔軟に提供するという趣旨の回答であった。
海外市場に関しては、まだまだ今現在日本でシェアを上げれる、そこに当面は注力するとのこと。
中古車の回転率は約42日、業界大手では最短であり、また60日を超えると自動的にオークションに出すという。
競合他社はガリバー、ビックモーター、ケーユー、アップル、グッドスピード、カーチスなど。
今の時代、日本の趨勢は人口の減、地方の減、消費の減など不景気な話があふれているが、まあ不景気な話ばかりしててもしょうがない、出来る間は頑張りましょう、実際それが今は数字に結びついているんだから、そんなスタンスの、ある意味楽天的な、頑張り屋さんの会社、そんな印象であった。