開催日: 2019年11月26日
プレゼンター: (株)ダイサン 藤田代表取締役社長
主催: 野村証券大阪支店
東証2部に上場する(株)ダイサンの説明会。建築現場の足場を製造し、販売や現場での施工を行っている。
会社の業績は、長年80億円前後で推移してきており、堅実ではあるが成長もあまりない状況であった。
一方、外部環境は、新築着工戸数が減少傾向であり、また建築技能労働者の減少や働き方改革で、建築施工に対するビジネス環境は逆風下である。
そのため、2019年4月~2021年4月の中期経営計画でいくつかの重点施策を定め、その実行によりビジネス環境をチャンスにつなげる試みを行っている。
今まで、一般住宅の施工向けを中心に製品とサービスを販売してきたが、将来的に戸建て工事は減少してくと予想される一方、マンションのリフォーム、都市部での宿泊施設や高齢者向けの施設の建設などの、中層大型建物に対する需要が堅調に推移すると考えられており、この中層大型建築物向けの施工サービス強化を現在重点戦略の一つとして掲げ、現在順調に受注を伸ばしているという。
また、新たな市場への挑戦として、海外での事業展開を模索中であり、今年5月にシンガポールにて、プラントのメンテナンス向けに足場工事を中心に付帯工事を手掛ける会社を取得して子会社化している。
足場工事のとび職も新たに特定技能職として海外人材の採用への道も開かれ、このシンガポールの子会社やベトナムの子会社も有機的に活用していく意向であるという。
一方、足場の販売では販売ルートを再編し、施工サービスに加えて、新たにリース、レンタル事業にも力を図っていくという。これに加えて現場の防犯カメラ事業において遠隔に現場を管理するカメラシステムの開発の拡販にも取り組んでいる。
これら施策とともに、おそらく一番力をいれている施策は、人材投資だという認識を持っているという印象を持った。現場でのマナーや規律の向上、印象の良いユニフォームの採用、足場施工の技能試験の実施など、建築の現場も従来のそれとはかなり変わってきており、働く人々のモチベーションの向上や、現場の施主や周辺の住民の人々への施工の配慮など、ソフト面でのレベルアップも会社の業績向上にこれからは必要不可欠な要素となっていることが良く理解できた。
(株)ダイサンの同業のライバルとしては、タカミヤやアルインコがあるが、元来一般住宅を主要市場としてきたダイサンとはぶつかることが少なく、また、現在中層大型のマンションリフォーム市場にも参入して拡販を図ってきているが、あまりぶつかる局面は今のところ無いとのこと。
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