開催日: 2019年12月4日
プレゼンター: (株)エスディーエスバイオテック 寒河江 代表取締役社長
主催: 日本証券アナリスト協会(東京)
会社の名前が全て横文字で、且つバイオテックなどと入っているから最初は創薬メーカーか何かかな、と思った。
実際は1968年に外資と昭和電工との合弁で設立された農薬の中堅メーカー。その後曲折を経て、現在は出光興産が株式の約70%を持つ同社の子会社となっている。
農薬は、その開発と安全性の確認のために、医薬以上に大変なのだという。なぜなら、医薬は人体に対しての安全性、毒性のみを確認するのに対して、農薬は人体に対しての安全性、毒性の確認はもちろん、土壌での分解性や環境生物への影響、植物での吸収、代謝分解など、より幅広い安全性の確認を試験を通して行わなければならないのだという。
農薬には大きく分けて三つある。
1 植物病原菌から農作物を守る殺菌剤。
2 農作物の収穫量を向上させる除草剤。
3 有害な害虫から作物を守る殺虫剤。
この中で、 (株)エスディーエスバイオテックが強い分野は1の殺菌剤、2の水稲除草剤とゴルフ場などで使用される緑化関連除草剤、そして主に親会社の出光興産が手掛ける生物農薬となる。
また、農薬の使用分野とは別に、農薬メーカーには、基礎原料を有機合成などを通して農薬の有効成分(原体)を開発販売する原体メーカーと、それらの原体の供給を受けて他原体と混合して販売する製剤メーカーとに分けられるのだという。
そして(株)エスディーエスバイオテックは、主に前者の原体の製造販売に強いメーカーなのだという。
(株)エスディーエスバイオテックの看板原体は、殺菌剤のダコニールと、水稲除草剤として威力を発揮するペンゾビシクロンの二つ。この二つの製品は、海外市場での評価も高く、同社の海外売上高の向上に寄与している。
農薬の日本の市場は、過去10年ほぼ横ばいで、今後も大幅な拡大は期待できない状況だが、海外は中期的には人口増加に伴う食糧需要増を背景に、まだ成長が予想されるという。
同社の過去の業績を見ると、売上高は100億強で若干上向きながら、ほぼ横ばいで推移している。一方、利益は意外に安定せずに、上下動をしている。昨年の火事の影響も当然あるのではあるが、現在は中国の原材料価格が高騰して損益に影響しているのだという。
ダコニールとベンゾビシクロンの二本は安定しているのだが、その更なる拡販と、新たな第三の柱の開発状況が、まだ見えてはこない説明会ではあった。