開催日: 2019年9月20日
プレゼンター: 共英製鋼(株) 廣冨 代表取締役社長
主催: 日本証券アナリスト協会(大阪)
共英製鋼は鉄鋼会社である。
鉄鋼会社といっても、鉄鉱石を原料炭で高炉で溶融還元して鉄を製造する高炉メーカーではなく、鉄のスクラップを電気炉で溶融して鉄を製造する電気炉メーカーである。
電気炉メーカーは、鉄のスクラップから鉄を製造するのだから、究極のリサイクルビジネスとも言える。
共英製鋼は、鉄筋コンクリートで使用される鉄筋(棒鋼)の分野で約18%のシェアを持ち、トップの会社であるとのこと。
だが、日本の市場環境は、メーカー数は多く、一方で電気代や原料代、副原料費、運送費などのコストは上昇、需要は横ばいで今後大きな拡大が期待できない状況である。
過去、多くの海外への技術提供や進出の経験のある同社は、そこで最近、ベトナム、アメリカと立て続けに海外への工場建設や電炉メーカーの買収を行って、海外展開を加速させている。
先進国では鉄需要は横ばいだが、これから経済を発展させていく国々では、鉄の需要は飛躍的に伸びると予想される。ベトナムやフィリピンなど、期待できる市場だという。
また、一定の需要バランスに達しているアメリカ(68%が電炉による)でも、棒鋼などの製品は重量の割に価格が安いため、地産地消で、工場からせいぜい100㎞が市場エリアとなり、空白エリアを狙っての進出はありえるのだという。
雑多な鉄スクラップを使用して鉄を再生する事業なため、日本人的なきめ細かい品質管理でも、一定の差別化ができるのだとも言う。
共英製鋼はこれら海外展開の他、現在はまだ小さな事業だが、超高温の電気炉で医療廃棄物などを無害化溶融処理したり、コンビニ店舗の回収設備を原料にしてリサイクルするなどの環境リサイクル事業にも力を入れて、差別化を図っている。
電気炉メーカーを取り巻く市場環境はなかなか厳しい状況ではあるが、淡々と事業を語る廣冨社長の話の内容は素人にも分かりやすく、同社の経営の方向性も理解しやすいものであった。
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