開催日: 2019年12月13日
プレゼンター: アルインコ(株) 小山 代表取締役社長
主催: 日本証券アナリスト協会(大阪)
最近、ダイサン、信和、そしてアルインコと、たて続けに同業のIR説明会を聞いているような気がする。その同業とは、建築用足場資材のメーカー。
そして、共通するのは、どこの会社も足元の業績が好調で、今後の見通しもかなり強気なこと。
業績や見通しがまだら模様ではなく全て好調でかつ強気。天邪鬼の自分としては、どうもこうなってくると逆に、近々歯車が逆転する展開も可能性の一つとして考えてしまう。
2020年の東京オリンピック関連の建設需要がほぼ目鼻がついて、その先の需要減を心配していたところ、どうもその先も大型再開発案件の継続や地方への開発の波及、経年劣化した建築物の建て替えやリフォームの需要が継続するらしい、そんな期待がジワジワと盛り上がっているらしい。
実際に建築業界の見通しでも、その建築投資は2017年、2018年、2019年には直近の予想が当初の予想量を上回る事態が続いており、逆にその反動もあり、来年、再来年は直近の予想が当初の予想を上回る事態となっている。
まあ、そうなのかもしれない。あるいはそうはならないかもしれない。ちょっとあらためて自分に冷静さを呼び掛ける機会ともなった。
さて、アルインコの業容であるが、2019年3月期の売上高は538億円、経常利益33億年で、今期2020年の3月期はそれらが573億円憶円と37億円を予定している。
建設用の仮設足場の売上高が208億円でぜんたいの36%。それらのレンタル関連商売が175億円で31%、残りは住宅関連機器と無線機の販売となっている。
特にここ10年、一様にどの事業も業績を伸ばしてはいるが、特に建設用仮設足場の販売額がここ10年で約4倍に伸びるなど、会社の業績をけん引している。
我々からみたら同じような仮設足場ではあるが、同業他社で互換性はないらしい。そして高さが10M~100M程度にまでまたがる中高層建築と、低層建築とでもその市場の違いだけではなく足場の構造も異なるらしい。
アルインコはこの、中高層と低層との両方の市場を持ち、特に中高層で強みを持つという。それは
現在、アルインコを含めて業界では、新型の足場にモデルを切り替えている過程にあり、今後5年~10年はこの置き換えの需要が期待できるとのこと。旧型の足場は重いが、新型の足場は軽く、その作りもシンプルで、持ち運びに利便性があるのだという。
また、アルインコの新型足場は同業他社よりも少しだけ重く、その頑強さがかえってゼネコンなどには安全性の担保として評価されており、また、建築用の足場だけではなく、コンクリートを固める時に使う支保工としても使えることがわかり、新たな市場の広がりに期待しているのだという。
需要の増加に合わせて生産能力の拡充にも力を入れており、これが投資額の増加と減価償却費の増加につながり、M&Aののれん償却代と合わせて拡大する償却費となっているが、このために経常利益は30億~38億円にとどまる結果となってはいるが、今後も投資の拡大方向の方針ではあるという。
海外に関しては、中国市場はまだ市場で日本のような仮設足場が使われるには時間がかかるとみており、付かず離れずで市場をウオッチしていく方針だとのこと。
同業3社の説明会を通して、ダイサンは得意の低層用から今後中高層へと市場を広げていく、信和は国内はそうは言っても今後長い目では市場の大きな成長は見込めずに、物流機器や海外、特に中国市場に力をいれていくこと、そしてアルインコは、引き続き得意の中高層用市場を伸ばしつつ、新たにな土木分野に期待を注ぐ、そんな立ち位置の違いは感じられ、興味深かった。