【アトラ(株)(6029) 個人投資家向けIR説明会参加メモ】

2019年8月29日
プレゼンター: アトラ(株) 久世代表取締役社長
主催: 野村証券大阪支店

上場企業の業務内容にはいろいろある。

本日のアトラ(株)は、接骨院のチェーン展開、鍼灸接骨院向けに機材、消耗品の販売や保険請求の代行サービス、予約システムの提供を行っている会社。

接骨院、確かに最近よく目にする。
私自身は一回もお世話になったことはないが、中には商店街の中で結構、人の出入りを見かけるところもある。

会社のIR説明会で知るというのも恥ずかしいことなのかもしれないが、まず、接骨院柔道整復師、鍼灸院ははり師きゅう師という国家試験がそれぞれあって、資格を持っている人しか施術ができないということらしい。

そして、医院にかかった時などと同様に、それらの施術が健康保険などの保険の対象になること。
これは厳密に言うと、医院にかかった場合は医療費鍼灸整骨院の場合は療養費と区別があり、医療費の場合は対象保険料は個々の病院が国や健康保険組合に保険請求を行うため、患者は何もしなくてもいいが、療養費の場合は原則患者自身が保険請求を行なわなければならないという、制度上の違いがある。

(「原則」と書いたのは、実際には患者に代わって各鍼灸接骨院が保険請求代行業者を通して保険請求を行っていることのほうが多いことによる。)

鍼灸接骨院などと同様、街で多く見かける整体院カイロプラティックなどは、国家資格は必要とせず、多くは民間資格、もしくは無資格で施術をしているとのこと。

このような業界ではあるが、どうも業界環境としては頭打ちであるらしい。
保険請求された療養費は、2011年度を頭に、微減傾向である。そして国の保険政策から言って、今後保険に頼った施術はやはり減りこそすれ増加する状況ではないと考えられる。

一方、接骨院の数はまだ増加傾向にあり、同様に国家資格を持った柔道整復師の数も増え続けており、ビジネスの観点からの状況は決して恵まれた状況ではない。

このため、国は昨年4月に制度改正を行い、国家資格を取得後一定年限を置かなければ独立して接骨院を開業することはできない、というように改めている。

今まで、毎年新しい資格取得者が続々と接骨院を開業し、そんな接骨院に対して機器や保険請求代行サービス、予約システムを提供してきた同社が、最近業績伸びの失速を招いているのはまさにこのような業界をとりまく環境の変化である。

同社は今後、今まで以上に、接骨院が保険に頼らぬ施術を施すためのいろいろな機器の開発と販売を伸ばすこと、そしてその対象として、新規開業者や業界への新規参入者ではなく、既存の開業者へターゲットをシフトチェンジし、現在の困難な状況を乗り切ろうと図っている。

また、新規事業として、接骨院を基軸としたデイケアサービス事業への取り組みを始めているとのこと。
元来体のケアのプロである接骨院とデイケアサービスとは、確かに相性も良いように感じられる。

ビジネスを展開する上で、楽な環境はそうそうは無いが、同社の取り組みもなかなか浪高しと見受けられる。

今後の推移が楽しみである。



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