【(株)キトー(6409) 個人投資家向けIR説明会参加メモ】

開催日: 2019年10月18日
プレゼンター: (株)キトー 大下コーポレートコミュニケーション部部長
主催: SBI日興証券 神戸支店

キトーという会社、メーカーで、なかなか縁の下の力持ち的な製品を作っている。

実際の製品は縁の下ではなく頭上や天井で使われているのだが、工場や工事現場で重いモノを持ち上げ、運び、固定する作業などに使われるハンドリング機器がそれであり、具体的には滑車と鎖チェーンを用いた巻き上げ機や工場内で稼働しているクレーンが主要製品となる。

重たいものを持ち上げ、運び、固定するという作業は現実には幅広い分野で行われ、彼らの顧客は食品や造船、航空、自動車といったさまざまな工場からクリーンルームなどの特殊な環境を施した現場、鉱山、発電所、劇場、建設現場、プラントなど多岐に渡る。

要求される品質はある特殊な分野で使われる製品についてはかなり厳格なものもある。例えばクリーンルーム内で使われる製品には製品の摩耗研磨や削り紛の発生はタブーであり、化学プラントで使われる製品では火災発生を防止するための防爆仕様が求められ、水族館で大きなシャチを運ぶために使う製品ではシャチに油が零れ落ちないような仕様が求められる、等々。

製品の需要用途が多岐にわたるゆえ、経済の発展段階に応じてそれぞれの段階で需要が発生し、また特定の顧客基盤に偏ることなしに民需、官需含めて広い業界に需要が分散し、その製品や技術、原理は成熟したものでありながら、未だに成長している産業だとも言える。

単純な製品ではあるが万一製品に不具合や破損が出た場合は重篤な事故を招く製品でもあるため、高い品質に基づく顧客からの信頼が各市場での高いシェアとなっている。

日本では約60%のトップシェアー、米国では約40%のシェアで2位、中国ではチェーンの代わりにワイヤロックを使用する製品で約25%のシェアを持ち、キトーの他に二桁以上のシェアーを持つメーカーは存在しないとのこと。

同社は2000年代に入ってから海外市場での売り上げを伸ばし、この海外での成長が即同社の業績の成長に結びついている。

2019年3月期のキトーの全売上612億の内、日本市場が26%で他の残りは全て海外市場での売り上げとなっている。アメリカが45%、中国が11%、アジア9%、欧州5%となっている。

過去アメリカやイタリア、オーストラリア、フィンランドなどの海外市場で積極的にM&Aを通して現地企業を取得し、海外市場での成長の糧としてきている。

同社の製品は、自社工場で原則すべて生産しており、山梨工場ではギアの本体となるアルミダイカストやチェーンなどもすべて内製化しているという。

今日初めて詳しく知った同社の事業内容であるが、ある意味でニッチな市場に特化して非常に強みを発揮し、その強みを海外での成長にも活かしている、なかなかユニークな企業との印象であった。また同社の製品の需要用途が非常に多岐にわたる故、経済動向との連関も高いと思われ、同社の業績動向が今後の景気動向を占う指標として一定の機能を果たすのではとの思いも心をよぎった。


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