開催日: 2019年10月18日
プレゼンター: (株)SANKYO 磯野 経営企画部IR室課長代理
主催: SBI日興証券 神戸支店
本日はパチンコメーカーのSANKYO。パチンコって昔は待ち合わせの時間つぶしなどで100円つづお金投入してよくやったけど、最近の大音響とともにピカピカパチパチ、目がくらくらするパチンコはまったく縁がないものとなってしまった。
最近のパチンコ業界いったいどうなっているんだろう、こんな興味もあり参加した。
SANKYOの売り上げは1,000億円弱、2008年には2,800億円まで売り上げを伸ばした時期もあったけれども、最近は1,000億円前後にそれは落ち着いている。
売上が減少傾向にあるだろうことは想像の範囲ではあるが、ここまで激減しているとは。それでもメーカーで作って売って1,000億円というのはなかなかの数字である。
パチンコ市場はというと、総額約20兆円。日本の余暇市場の総計が72兆円らしいので、その中では外食の15兆円、行楽、観光7兆円などをはるかに抑えて1位を占める依然巨大産業のようである。
それでもパチンコ屋を営むパーラーの総粗利益は2005年の4.7兆円をピークとして減少傾向で、2018年では3.4兆円、パチンコをプレーするファン人口は1900年代半ばの3,000万人近い人口が現在は950万人程度まで減少している。ファン人口の減少に対して業界では客単価を上げるという方策で生き残りを図ってきたらしい。
要はパチンコ業界にとって市場はあまり明るい状況ではないのだが、2018年に風営法の規則が変更されて機械の方もその新規則に対応した新機種を入れる必要があるらしい。その対応期限が2021年1月末となっており、なかなか進まない機種変更に対する置き換えの潜在需要が、これからパチンコ機200万台超、パチスロ機100万台超の規模で潜在化してくるので、機械メーカーの業績の底支えをするらしい。
日本で新たに始まるカジノ施設はメーカーの立場からすると棲み分け可能とのこと。パチンコは身近で手軽な大衆娯楽、カジノは非日常のギャンブルだということらしい。
通常、会社のIR説明会に参加すると、将来の発展を見据えた中期計画の説明などを話の中心に据える会社も多い中、SANKYOの説明会はそれとは一線を画した画期的なものであった。
成長戦略に関する考え方は、あくまでもパチンコ市場でのシェア向上を目指しており、海外進出を含めた市場開拓、新規事業などの多角化は提起し、そして自ら否定している。
また説明の中で「バリュー投資」vs「グロース投資」の比較説明があり、なんとSANKYO株を自らバリュー割安株として位置付けたのである。
その根拠として、
- 1株当たりの純資産4,139円、内現金及び同等物3,379円(2019年3月末)、それに対して株価は3,685円(10月7日)であること
- 1991年の上場以来減配が無く、公約配当性向25%、安定配当で現在の配当利回り4%を上回っており、過去も株価は配当が下支えになってリバウンドをしていること
- 自己株式の取得及び公開買い付けを行い、今までに発行済株式総数に対して22.33%の株式を買い付けていること。また取得した自己株式については償却予定であること
中々、興味深い説明であった。自己株式取得は確かに数字としてインパクトのあるものである。
説明会では触れられなかったが、最近の5%ルール報告書によると、SANKYOの創業3代目にあたる現代表取締役会長の保有株式比率が大幅に減少している。その株式の移行先の情報はみられないが、経営トップの株式保有比率の減少は、通常投資家にとってはあまりいい兆候とは言えないケースも多いので、注記しておく。
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