2019年7月4日
プレゼンター: ローム(株) 野里広報IR室長
主催: 大和証券大阪支店
ロームという会社、会社の名前は知っている。優良企業というイメージも。だが、実際にどのような事業活動を行っているのか、馴染みがちょっと薄い。
京都にはなぜか電子関係の優良企業が多い
本社は京都市右京区。
京都には、電子関係の優良企業がなぜだか多い。ロームの他、京セラ、村田製作所、日本電産、オムロン、島津製作所 etc.。名だたる世界企業が並んでいる。
それはさておき、ロームの業績から振り返ると、1954年に小型の抵抗器で特許を取り祖業、初期の業績基盤を作って以降、70年前後からトランジスタ、LSI、LEDを開発販売し、80年代に急激に売り上げを伸ばして1000億円企業の仲間入りをする。その勢いは2001年にITバブルがはじけるまで続く。2001年には、売上は初の4000億円越えを記録。世の中からは、超優良企業の一角とみなされる。
実は、その後の業績は、二度とこの記録を超えられていない。
説明会ではしばしば、「再成長ステージに向けて」、といったキーワードが出てくるのは、まさにこのためである。
なぜ20年もの間、日本の停滞と歩調を合わせて成長を滞らせてしまったのか。実はこの問いへの答えが、今後の同社の成長を占うカギとなると思うのだが、説明会ではこの点、今一つ自分にははっきりしなかった。
海外での販売ルートが無かった。こんな説明もなされていた。多くの国内の優良企業が失速する中、そんな、失速しつつある国内企業にしがみついて、いつまでも商売を続けようとした。そして自ら、客先ともども地盤を沈下をしていく、そんな構図だったのであろうか?
車載と産業機械分野で復活をかけるローム
ロームの主要製品は半導体。そして、同社が得意としている半導体は、アナログ半導体だという。小型化はしているが、80年代から作ってきているトランジスタ、LSI、LEDなどの製品の延長だとも理解できる。
ただし、市場別の売り上げ推移を見ると、停滞の20年の間にも主要製品市場は明らかに変化しており、2004年時点で主要顧客だった日系のデジタル家電分野の売り上げ構成比が36%から6%へ激減しており、代わりに自動車用車載部品が11%から34%へと大幅に成長している。
そして今後の注力市場が、この車載市場、そして産業機械市場、加えて海外市場だとしている。
電源回を中心に需要が伸びているパワー半導体で、新素材(ケイ素→炭化ケイ素)を使って一挙に主要メーカーに躍り出る戦略や、汎用のICやパーツを、ユーザーの需要に応えて幅広く確実に供給する体制を築く標準製品戦略などが、特記戦略品として挙げられていた。
ただ良い製品を作れば売れていた時代から、良い製品を、需要を探し出し、そしてタイムリーに届けなければならない時代に変化している。モノづくり+αの部分で、どれだけこれから力を発揮できるか。
いにしえの優良企業の復活に、期待を込めてエールを送る。
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