2019年6月5日
プレゼンター: 大代 経理部長兼経営企画部長
主催 野村証券京都支店
家電量販店の会社説明会は時々あるが、それぞれの会社の生い立ちを聞かせていただくと、なかなか興味深い。
上新電機はというと、もともと大阪日本橋界隈で青果商を営んでいた創業者の浄弘(じょうぐ)信三郎氏が自らの性と名前の最初の漢字「浄」「信」から、青果にふさわしい「上」等で「新」鮮な青果という意味を込めてつけられた名前だとのこと。
時は戦後まもなくの1948年、ラジオ組み立てパーツ屋の多かった同地でこれからの電気製品の発展を先見して電気製品の販売業に転身したのだという。
同社には、業界初といわれる取り組みが非常に多いとのこと。1974年に業界初の「無利息クレジット」を開始、また同年やはり業界初のテレビショッピングを開始したのも同社だという。
人口減の日本市場での家電量販店の見通しは
中長期の経営計画は策定中とのことであるが、現在7兆円あまりある家電市場はトータルとしてはあまり減っていないらしい。高付加価値商品や省エネ製品など絶えず新しい製品市場が市場価格を引き上げながら入れ替わり出てきているということらしい。その中で3000憶円程度の家電を売り上げている同社にとって、まだ市場の10%程度までは発展余地があるのではとの見立てである。
また、Amazonを始めとするネット販売との競合も、例えば大型上位機種のエアコンとか55インチの有機ELテレビなど高付加価値製品は、現在の趨勢もネットではなく店舗販売が優勢であり、ネットは低付加価値の汎用品中心であり、今後もそのすみ分けは続くのではとの読みである。
実際の製品ごとの販売動向はというと、2019年3月期では昨年の猛暑もあり、エアコンが絶好調であった(対前期比15.2%増)。また携帯電話もあいかわらず好調(同17.9%増)。パソコンもウィンドウズのサポート切れもあり好調(同8.9%増)。一方ゲーム分野は任天堂スイッチが好調だった前期からの反動減でマイナス4.7%ではあるが想定内。
インバウンドに関して言うと、同じ家電量販店でも主要店舗のロケーションによりロードサイドとレールサイドに分かれるが、上新電機の場合ロードサイドが中心で、インバウンドの波の影響はほとんどないとのこと。
今後の悩みとしては、やはり人手不足の問題。店舗を出店するのは比較的容易くても人手を集めるのが大変。他業種でも同様の話はあるが、人手不足が成長の阻害要因になりえる状況なのだろう。
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