開催日: 2019年9月10日
プレゼンター: 川西倉庫(株) 若松 代表取締役社長
主催: 野村MIRAI(大阪)
「より高品質でグローバルな物流をめざして」
この言葉が本日のテーマとなる川西倉庫(株)の会社のキャッチ。
倉庫業という業態を勉強させていただく上で非常にためになるお話の数々であった。
設立から100年をかずえ、神戸を基盤として388名の従業員を抱える伝統ある倉庫業の専業会社である。
特にコーヒー豆を中心とする食品原料の取り扱いでは業界で秀でたものがあり、その大部分は海外からの輸入品の取り扱いである。必然、輸入、通関、保税から保管、国内配送、そして最近では例えば小豆の選別などちょっとした初期加工プロセスまで自社でこなしている。
IR説明会なので、自ずとそんな、倉庫業の範疇を超えるような加工業への取り組みやインドネシアでの冷蔵、冷凍設備を備えた最新倉庫への取り組みなど、比較的注目を浴びやすい話題多く含まれた説明会でもあった。
しかし、そうは言っても根幹のビジネスは倉庫業。やはりビジネスと利益の源泉はユーザーから委託される保管業務であり、それに伴う対価としての保管費用が主流であるとのこと。
そのため、ユーザーから預かる製品が増えないことには収益は増えない、そのためには新たに倉庫を増やさなければならない。
営業利益率はだいたい1%台からせいぜい3%に満たない程度である。ここで何十億もの投資をして最新倉庫を建ててもなかなか投資の回収はしんどいのかなとも感じられる。
世の中には絶対に必要な業種である。そして縁の下の力持ち的な地味な業種でもある。ただ、ヤマト運輸の配送費の値上げでも明らかになったように、なかなか実際に彼らがこなしているサービスの数々に対して、サービスの対価のバランスがまだ取れていない業界のような印象も受けた。
実際、取り扱い製品マトリックスを変えて、それが徐々に利益率の改善に結びついているという話もあった。
減価償却費と人件費がコストで大部分を占める業界。そして新たな倉庫を建てなければ売り上げの拡大は見込めない。売上増をめざすと償却費は上昇する。かたや、人件費は一貫して上昇傾向である。
応援したいし活躍してもらいたい業界であり会社であるけど、なかなか日本の矛盾の縮図を表す業界の一つという風にも感じられた。
現在インドネシアなど、海外展開を積極的にされているということ。
日本の倉庫や物流ノウハウが、海外でどれだけ生きるのか、存在価値があるのか。この点も、個人的にはやや悲観的ではあるのだが、注目し、応援したい。
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