開催日: 2019年12月14日
プレゼンター: ファイズホールディングス(株) 榎屋 代表取締役社長
主催: 大和IR(大阪)
会社の紹介として、「ネット通販に特化した物流ベンチャー企業」とある。
ネット通販はこのご時世でも成長している市場なので、その周辺にもネット通販に特化したシステムを販売しているとか、ネット通販用の在庫と入出庫管理ソフトを開発している等、いくつかの企業が頭に浮かぶ。
そしてその中で、物流に特化して一体なにをやっているのか?ヤマト運輸などに伍して小口物流などをやっているのか。こんな疑問があった。
ファイズホールディングスの社長のお話を聞いて、正直それでもあまりビジネスモデルが理解できなかった。「人材x物流」でECソリューションサービスとか、物流センター内運営管理でオペレーションサービスとか、幹線輸送運営管理でロジスティックサービスとか、全体的に横文字を多用している。そして具体例を分かりやすくいくつか挙げてくれればいいのだが、どうも包括的に自社のビジネスを語ろうとしている、そのための話の分かりにくさがあった。
業績は売上高が5年連続順調に拡大しており、13年創業、17年3月にマザーズ上場、19年に東証一部上場と、順調かつかなり急速に業容を伸ばしているようにも見えるので、よけいそのビジネスの中身が知りたいのでいろいろとファイズホールディングスのHPも読み込んでみた。
自分なりの理解は以下の通り
1 アマゾンの業務をかなり行っている。
2 アマゾンは大きな自社倉庫の器の中で、実際のオペレーションはすべて下請けに出している。
3 そのオペレーションは実際には、入荷段階、注文商品のピッキングと箱詰め段階、そして出荷段階と三つに分かれており、それぞれの段階で下請けのオペレーター数社を使ってネットの注文をこなして商品を出荷している。
4 ファイズホールディングスはそれら各段階のオペレーションを一つもしくは複数請負っている。
5 そのオペレーションに当たるオペレーターはファイズホールディングスがアルバイトやパートを主に大量に採用して現場の倉庫に送り込みこなしている。
6 同様のオペレーションで、医薬大手の問屋の業務などを受注するなど、徐々にユーザーの幅を広げ、かつ業務の一元管理や一括管理ができる方向に持ってけるように業務範囲の拡大努力を行っている。
ざっとこのような理解だが、ファイズホールディングスは売上を今期予定100億円超まで順調に伸ばしているが、利益率は1-2%程度とかなり薄利で推移しており、今後の業容拡大にはやはりこの人不足のご時世で人が潤沢に集められるのか、ちょっと心配ではある。
自分もよくお世話になるネット通販だが、注文した商品が家に届くまでの過程を考えると、本当にいろいろな人手を経てきていることは容易に想像がつく。そして大手通販会社はそれらを自社では賄わずに他社に業務を委託しているであろうことも当然想像がつく。
ファイズホールディングスの中期経営計画では、2022年3月期の目標が利益率3%程度まで改善する。
設備は極力自社では持たない、こういう方針のようなので、今後順調に業績を伸ばしていくには、人の確保と待遇改善、そして現在は無配の株主に対しての配当の開始など、それでもこの3%達成にはいろいろと壁はあると思う。
それでも着実に利益を取って業容が拡大できた時、本当にすべての人にとってハッピーなネット通販となるのだろう。
期待をもって注視したい。