2019年7月4日
主催 大和証券大阪支店
海外進出と事業多角化により成長を目指す大阪ガス
家でもお世話になっている大阪ガスの会社説明会だが、案の定どうも分かりにくい。
何が分かりにくいと言えば、例えば、昨年は原料の天然ガスの価格がこのくらい下がったから利益が増えた、とか、円安は採算にどのくらいの感度で影響する、とか、客先数が営業努力でこのくらい増えたので売り上げが何%増えました、とかといった話がまず一切出てこない。
主力事業のガス事業が、法律によりガスの原料価格の変動をガス料金に自動的に反映させて、営業費用なども含むコストと利益がある意味保証されて営んでいる事業となっているためである。ガス事業は公共事業だから、むやみに競争環境を作らずに安定的に事業を行ってもらおう、という保護政策下にある。
しかし一方で、自由化の話がでてくるから、ややっこしい。大阪ガスは関西電力のおひざ元で電力事業もてがけている。
また大阪ガスは、業界に先駆けて海外に展開している会社でもあるそうだ。
そして、ガス事業から派生した製品の販売や不動産開発、材料ビジネス、システム開発などにも積極的だという。
そしてこれらを、キーワードとして一括して、「安定的に持続的な成長」をめざしている、というから、ちょっと無理を感じて混乱してしまう。
説明資料に、個々の具体的な数字は入っていないが、棒グラフがある。それによると、中期目標として、2017年度に640億円程度の経常利益レベルを、2030年度には3倍程度に増やす様子が表されている。
ただ、国内のガス事業など、急激に増えるはずがない。
中期目標では、現状5%程度の海外事業の比率を、30%超まで上げる。またガス事業は一定量、電気事業はもう少し意欲的な量を、また先に挙げた、ガス事業から派生した事業は2.5倍程度に増やすetc.、このような未来図が描かれている。
要は、全体として海外事業と多角化による脱(減)国内ガス事業、このように見て取れる。
あまり安定的持続的な成長、という言葉とはやはりそぐわないが、方向性は理解できる。
しかし、本業以外の事業領域を広げていくのは、人的資源でもノウハウの面でもいろいろと制約は多く簡単ではない。試みは評価できるが、一方で大阪ガスは安定した業績の会社、という、他社にはない大事な存在価値・理由もある。
海外進出と多角化をもしさらに進めるならば、リスク管理をうまくバランスを取り、それでいてやるからにはスピード感をもって、こんな状況になってくると、安定した会社+αの投資妙味が出てくるということかな。
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