栽培醸造って何!?
東京からいくらも離れていない神奈川県海老名市。ここに日本酒用の米作りから清酒作りまで一貫して行っている蔵元がある。
最初、正直神奈川県、それも東名高速のインターのある海老名で酒蔵はさえておき米までを生産している、とかなり以外な印象であった。だが、同蔵のHPによると、古代古墳文化時代から穀倉地帯として栄え、1927年に日本陸軍が撮影した写真によると当時耕地の中心を流れていた泉川が一帯に潤沢な農業用水を供給していた様子が写されている。要は同地域は古来お米の穀倉地帯であったということ。
今年4月に大阪高島屋で開催された日本酒祭で、同蔵元の船場代表の講演を聞かせていただいた。
酒造りは米作りから。ロゴのトンボのブランドは、最近農薬使用でめったに見なくなってしまった赤とんぼを、減農薬や無農薬で田んぼから復活させて赤とんぼと米作り、おいしいお酒を共存させる思いがこもっている。嘗ての食管法や法人経営が農業で禁止されていた時代の、米作りから酒作りへの一環生産の苦労話、このご時世で農地がさらに増えつつ、だが一方将来農耕にたずさわる労働人口の減少や代替わりに悩みは尽きないお話など、とても興味深く聞かせていただいた。
日本酒祭りで購入したお酒は2年以上蔵内で寝かせた生酛造りの純米酒シリーズの黒とんぼ。山田錦を100%使用した【いづみ橋生酛黒とんぼ】と亀の尾メインの【茜黒とんぼ生酛】の2本。今回開けたのは後者の【茜黒とんぼ生酛】。
色は微妙に琥珀色、よく冷やして開けたけど、含みがあり味とボディは意外にしっかり、料理はかなり幅広に邪魔せずに合う包容力、飲み込み後の切れ味綺麗、何より、檜の枡で飲んでいるような仄かな木の香りがなんとも幸せな気分にさせてくれる。
もう一本の【いづみ橋生酛黒とんぼ】は自家押し入れ熟成用にすこし寝かそうと思っていたが、きっと早々飲んでしまいそうだな。
泉橋酒造(株)(神奈川県海老名市)
精米歩合 神奈川県産亀の尾80%、 神奈川県産山田錦20%
精米歩合 70%
アルコール分 15度
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