飲食店のサービスの向上をはかるNPO団体、FBOアカデミーが主催したセミナー、【特別なスパークリング日本酒。「awa酒」を学ぶ】に参加した。
セミナーにはawa酒協会の理事長、副理事長を招き、そのお話を聞きながら、実際に8種類のawa酒を唎酒する、というなかなか充実した内容。
実際、今回初めて「awa酒」と称するお酒を口にした。
「awa酒」とは、一般社団法人awa酒協会が主催する団体に所属する日本酒メーカーがつくった、スパークリング日本酒。その製造方法や原材料、製品の品質にかなり厳しい基準を設け、それらの基準を満たした製品だけがawa酒の名を謳える。
フランスのシャンパンをはじめ、世界の一流のスパークリングワインとも肩を並べて世界の乾杯シーンで飲まれることを目指す、と、目標も世界志向である。
現在いろいろな日本酒が、各地の蔵元の努力で次々と現れている。また一つ、その中に新たに野心的で楽しみな試みが現れたと言える。
その認定基準を列挙すると、
1 米、米こうじ及び水のみを使用し、日本酒であること
2 国産米を100%使用し、かつ農産物検査法により3等以上に格付けされた米を原料とするものであること
3 醸造中の自然発酵による炭酸ガスのみを保有していること
4 外観は視覚的に透明であり、抜栓後容器に注いだ時に一筋泡を生じること
5 アルコール分は、10度以上であること
6 ガス圧は20度Cで3.5バール以上であること
そして品質基準として、常温で3か月以上、香味、品質が安定していること。また火入れ殺菌を行うこと。
要は、ガス充填などによるガスは許容せず、泡は酵母による発酵由来の炭酸ガスであること(発酵はタンク内、瓶内を問わない)、醸造用アルコールや、発酵を促すために米や麹以外の糖分を添加することを認めないこと、火入れにより、製品は出荷時に不活性であり、かつ透明で、許容のアルコール度とガス圧を維持しなければならないこと、ということになる。
上記条件を満たしながら10度以上の高いアルコール度や、3.5バールという高いガス圧を維持することは非常に難しいとのこと。
当然、これらの条件を満たすためには、二次発酵過程のみならず、シャンパンの製法でも使われているように、瓶を転置回転させながらゆっくり時間をかけて澱を瓶口に集めたり、瓶首の凍結、澱分の排出、栓の置換など、通常の酒造りに加えてとてつもない手間と時間がかかる。
これが「awa酒」各商品の4合瓶で最低でも一本5000円以上、という価格となって表れている。
お酒はというと、グラスからの香りや口に含んだ時の香りがそれぞれのメーカーの日本酒の生い立ちや特徴を泡とともにふつふつと感じさせ、その味わいも各メーカーの特徴を出してシンプルで軽いものからしっかりしたボリューム感がを感じさせるものまで、幅広いバリエーションがある。
泡は思ったより控えめで、意外にもやさしさやまろやかさが、本来のお酒の口当たりにさらに加わっているように感じさせる。
かなり強い柑橘系の香りを醸し出すものや、酵母に由来するロゼ色のもの、ウイスキー樽を使用してチョコレート的な味わいを出しているもの、生酛的な原料由来の味を全面に出しているものなど、「awa酒」として製法や品質基準、ブランドを統一してはいても、そして、みな、一様に綺麗な一筋の泡をグラスの底から立ち上がらせてはいても、各地のいろいろな蔵元さんがそれぞれの哲学を持って造ったものだけあって、千差万別で、かなりの世界観の広がりをそこには感じた。
スパークリングワインも、シャンパンを頂点として、いろいろなお酒がいろいろな局面で楽しまれてきた。日本酒のスパークリング分野も、「澪」、「すず音」をはじめ、活性のにごり酒や無濾過生原酒なども含め、今後さらにいろいろな製品が登場して、「awa酒」を含め、スパークリング日本酒全体として、一層活況を呈していく将来の姿が今から楽しみである。
そうそう、大阪で開かれたG20の晩餐会のメニューを見ていたら、南部美人の「awa酒」も見事お酒のリストの一つに選ばれていた。世界のリーダー達がこのお酒を飲んで、どんな感想を持ったか、是非感想を聞いてみたいものである。
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