行きつけの酒屋さんの一つで冷蔵庫に見つけて購入。
4合瓶一本3000円を切る大吟醸を見つけると、つい買ってしまう。
価格がこなれた大吟醸酒は、香りも適度によく、飲み口のバランスいい。飲み口も軽く、後の引きも良い。冷蔵庫に常備して、今日は日本酒や赤ワインがちょっと重たいな、というような時にも重宝する。
このハズレが少ないオールマイティーな飲み心地には、磨かれた米原料とともに醸造用アルコール添加が多分に貢献している。あんまりアル添酒をいじめないでくださいね。
で、このお酒、酒蔵は秋田県飛良泉本舗。実は知る人ぞ知る酒蔵さんなのである。
現在、全国で日本酒を醸造する酒蔵は1500蔵ほどある。その数ある中で、酒蔵としての歴史を遡れる古さで言うと、飛良泉はトップクラスの古さなのである。
利酒師などの日本酒資格を認定する、日本酒サービス研究会の教科書である「日本酒の基」の中の老舗蔵元の創業年リストによると、1141年創業の茨城県須藤本家が最古、次いでこの秋田の飛良泉本舗は1487年創業で2位、3位が兵庫剣菱酒造となっている。
この順位に関しては、最古の酒蔵は奈良にあるなど多少の異説もあり、実際、飛良泉のHPでは、自身を3番目に古いと言っている。いずれにせよ、全国でトップクラスの古さと伝統、歴史を持っている酒蔵の一つということができる。
新潟から青森方向へ、羽越本線に乗って日本海に沿って鶴岡、酒田、と進んでくると、まもなく右手に雄大な鳥海山を見ながら山形と秋田との県境を超える。そして、列車はしばらく走ると、飛良泉がある最寄り駅の仁賀保(にかほ)駅に到着する。
駅舎を出て日本海に向かって西方向に進むと、海までもうすぐというあたりで道路の右手側に黒い木造の大き目の建物が横に広がるのが見えてくる。道路に面したその黒い壁には、大きく、「清酒 飛良泉」と、毛筆体で勢いよく書かれた屋号が掲げられている。
HPにある杜氏さんのメッセージによると、「飛良泉の特徴は、秋田の酒の中でも酸味が強いこと。そして山廃仕込みが主流であること」とある。
ここから、飛良泉のお酒はおそらく辛口淡麗の傾向が強いのかなと想像はされる。
今回いただいた大吟醸、香りは抑え目ではあるがフルーティーで華やか。飲み口の最初のインパクトはかなり弱く感じられる。テクスチャーが滑らかで粘度もかなり低く、細くて綺麗、そんな印象を持つ。
そこからの味の広がりは決して広大ではないが、しっかり一本の線が通り、うまみも感じ取れる。そしてその後きれいに切れる。
食生活傾向暴露するようで気恥ずかしいのだが、このお酒と合わせてみた料理との相性の印象は以下:
豚肉の酒粕和え―お酒の細さと綺麗さで味に負けてしまう
菜の花の辛し和え―適度に同調。お米のボリューム感も感じられる
ドライフルーツ―飲み飽きせず、お酒が進む
タコとキュウリの酢の物―合いもしないが反りもしない
キャベツのコールスロー-同調してる。タコ酢との違いは醤油?マヨネーズ?
トマトのパスタ―テクスチャーが合わない。トマトと味が同調しない
ワサビ漬け―結構よい組み合わせ
今度は是非山廃仕込みの飛良泉で飲み比べしてみたいです。
銘柄: 飛良泉 大吟醸 室町蔵
酒蔵: (株)飛良泉本舗(秋田県にかほ市)
原材料名: 米、米麹、醸造アルコール
精米歩合: 40%
アルコール分: 15%
酵母: 自社培養酵母
日本酒度: +2.0
酸度: 1.3