【日本酒堪能記 浪花正宗 大吟醸】

今回は大阪は泉州、浪花酒造浪花正宗大吟醸。

4合瓶で3,000円を切る大吟醸酒を見るとつい買ってしまう、と以前書いたが、この浪花正宗大吟醸もその口である。

瓶には大阪地酒とある。酒蔵は浪花酒造(大阪阪南市)。

難波から南海の和歌山行き特急に乗り約40分、尾崎駅に着く。そこから歩いて程近くに浪花酒造はある。

小さな酒蔵なので、醸造量は多くはない。その7割方は地元泉州(大阪南西部)で、残りの約3割は大阪で消費される。大阪以外では幻のお酒でもある。

建物は国の登録有形文化財に指定され、見学会などに参加したら、その昔ながらの酒造りを守る酒蔵の設備や内装、江戸期の情緒と雰囲気をとどめる重厚な木造造りの本宅と中のすばらしい洋室や客間、茶室なども見学ができる。

沖に関西空港を見晴るかせる大阪湾に面した海岸からほど近いにも関わらず、酒蔵の入り口横にたたずむ古井戸は、創業以来300年もの間、一回も枯れることが無く、酒造りに適した地下水を脈々と供給し続けているという。

和泉山脈に端を発するその地下水は、灘の宮水に硬度も近い、比較的硬質で切れの良い酒造りに適した水であるという。

酒の味わいの要素【甘味】【辛味】【酸味】【苦味】【旨味】をいかにバランス良く調和したお酒を造るか、に重きを置いて日々腐心しているという。

現在流行っている華やかな香りを追求するお酒、とは異なる。

この酒蔵で使用しているお米は山田錦、五百万石、日本晴、青森のまっしぐらなど。蔵元から手配されるお米から目いっぱいお酒の実力を引き出すことが自分の仕事、とは畠山杜氏の言。

同じく畠山杜氏の言として、7号、9号協会酵母で醸すお酒は今だに多く飲まれており、7号を使って本当においしい素晴らしいお酒を造ってみたい、とも。

浪花正宗大吟醸は印象として香りが抑え目で旨みがはえる薫酒。

飲み口のテクスチャー(口あたり)は適度な旨みの芯持ちながら飲みやすさを維持、口に含むと甘さと酸がまろやかにほどよく広がり、飲み込み後に適度な辛さを伴って切れはよい。

いかにもお酒が大好きそうな蔵元さんが勧めておられたカマンベールチーズとの相性を試したら、改めて見直した。ベストな組み合わせ。チーズの中から乳やバターの香りと味を十分に引き出し酒杯が進む。

また、甘目に漬け込んだピクルスとの相性もこれまたベストマッチ。酢と合わせる酒はちょっと苦労するのだが、ピクルスの甘さが引き立ち意外や意外、大変に良い相性であった。

ワサビ漬けに竹輪ならぬ、マスタードに竹輪。これも蔵元さんがマスタードとの相性の良さを教えてくれたので竹輪と組み合わせ。よしよし。

同蔵の直売所で買っていた奈良漬けと組み合わせる。こちらはちょっとお酒の綺麗さが塩気に負けてしまうのか、期待ほどの相性とはならなかった。なかなか難しい。

飲み飽きせずに酒が進む大吟醸でありました。

浪花正宗 大吟醸
浪花酒造(大阪阪南市)
精米歩合 40%


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